音楽の伝記映画は難しいと思ったこと
こんばんは、
大した量の映画を観ているわけでもないのに趣味は映画鑑賞といいがちな男です。
ミュージシャンの伝記映画について思ったことがあったので、
思うままに書いてみます。
読む人によってはネタバレだと思う内容も含まれている可能性があるので注意です。
先日、公開日にウキウキして
『ボヘミアン・ラプソディ』を観に行きました。
監督が途中で交代した曰くつき作品とはいえ、
中学のときから大好きなクイーンの映画なのでどうしても初日に観たかったのです。
ただ、心配事は
<音源ってクイーンのやつそのままなんだろうな>
ということでした。
<クイーンの音楽が好きなんだったら、
まんまの音源でいいじゃん>
と言われそうですが、
<ドキュメンタリーじゃない映画なら、
キャストが歌うべきだ
(バックの演奏もキャストかはまあ知らん)>
というのが自分の信条です。
だから、同じくモノホン音源をそのまま使っていたジェームス・ブラウンの伝記映画も、
評価は高かったが個人的には<ウーン>だった。
だったら、クソほど評価が低いが自分たちで録音しているジミヘンの伝記映画の方が、まだいい。
(ジンジャー・ベイカー役の似っぷりと、
イモージェン・プーツの麗しさが特にお気に入りポイント。)
では、今回の『ボヘ・ラプ』はどうだったか。
<うん、でもクイーンだったらさすがに、
そう(音源まんま)するしかないよね。>
というのが感想。映画としてはとても楽しめました。
(『ゲーム・オブ・スローンズ』のベイリッシュ役の俳優も出てた。)
でも、
<最後20分って冷静に考えると
”大(だい)口パク大会”じゃん>
という気持ちは残った。
<だったら、ドキュメンタリーでいいんじゃない?>と。
音楽のドキュメンタリーには、すごく面白いのがいっぱいある。
この記事にも、良質な音楽ドキュメンタリーがたくさん紹介されていた。
上記リストの中から最近観た、
カナダのバンド、ラッシュのドキュメンタリーもすばらしかった。
わざわざラッシュのそっくりさんを持って来て、
ドラマ仕立てにする必要なんてない。
バンドの魅力も音楽の魅力も、ドキュメンタリーで全部わかる。
ストーン・ローゼズの再結成を扱ったドキュメンタリーもよかった。
(監督がバンドの大ファンだから、批判精神はゼロ。)
グレイトフル・デッドの”じゃない方芸人”ことボブ・ウェアのドキュメントも
アシッド感、スピリチュアル感たっぷりなエピソードの数々が面白かった。
これだけ言うと、
<グダグダ言うなら音楽の伝記映画なんて観るな>
と怒られそうですが、
今まで見た中で一番好きな映画は、
音楽の伝記映画なのです。
それは、写真家のアントン・コービンが監督した、
ジョイ・ディヴィジョン(のヴォーカルのイアン・カーティスの)伝記映画、
『コントロール』(2007年作)です。
本作では、元バンドマンの俳優サム・ライリーが、
イアンらしさは保ちながらモノマネにも終始せず、
イチ映画作品の主人公としてのイアン・カーティスをしっかり演じている。
白黒の映像で、イアンが感じていた閉塞感だけでなく、
全体としてシンプルなスタイリッシュさも演出している(んだと思う)。
とにかくむっちゃ大好きな映画です。
ちな、サム・ライリーの元々やってたバンドもなかなかかっこいい。
みなさんは音源そのままと役者が歌う、どっちが好きですか。
とにかく、『コントロール』を観てみて下さいという話でした。